食事でむせやすくなったら、嚥下トレーニングを始めてみよう!
年齢を重ねると、飲み込む力が弱くなってしまいます。そして食べ物が間違えて気管の方に入ってしまい、誤嚥してしまうこともあります。
誤嚥してしまうと、肺炎につながり、死に至るケースも少なくありません。ですから、誤嚥を防ぐために対処しましょう。
飲み込みやすい介護食に替えたり、食べる時の姿勢などを整えたり、だけでなく、飲み込む力(嚥下:えんげ)を鍛えるトレーニング方法もあるんです。食事の前に行うと誤嚥の予防になりますので、ぜひ試してみてください。
食べ物を飲み込むしくみ
食べ物をしっかりと飲み込むまでの流れを「摂食」といいます。摂食は5つのステップに分かれています。
- 先行期
食べ物を見ることで、食べ方を判断したり、唾液の分泌を促したりします。
- 準備期
食べ物を飲み込みやすいようにかみ砕き、(咀嚼)飲み込みやすい形にします。
- 口腔(こうくう)期
食べ物の塊を舌の運動で咽頭(いんとう)へ送ります。飲み込むことを嚥下(えんげ)といいます。
- 咽頭(いんとう)期
食べ物が気管に入り込むのを防ぐため、気管を閉じて食道を開きます。
- 食道期
食べ物が食道に入ると、逆流を防ぐために食道を閉じ、胃に送り込みます。
当たり前のように行っていることですが、年を取るとこの動きも少しずつ衰えていってしまうんです。
高齢ではなくても急いで食べたりするとむせることがありますよね。これは、4の働きがうまくいかず、気管に食べ物や水分が入ってしまうために起こります。間違えて気管に入ってしまうことを誤嚥(ごえん)といいます。
間違えて飲み込んだ時に、むせることができれば異物を吐き出せますが、『むせる』という行為にも背筋や腹筋などが必要になります。
問題なのは吐き出せない場合で、肺に異物と一緒に細菌が入ってしまうことで肺炎になってしまう例もあるんです。誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)といって、肺炎は90歳以上の死亡原因の第2位にもなっているんですよ。
ですから、誤嚥を防ぐためにしっかり飲み込む力を付けることと、誤嚥しても吐き出せるように筋肉を付けることが大切なんです。
嚥下トレーニングの方法
嚥下トレーニングの方法はさまざまありますが、食前に体操を行い、誤嚥を防止することが多いです。
食べるには口だけでなく、喉やあご、腹筋なども利用するので、上半身全体を動かす運動が多いですよ。といっても、高齢者でもできる簡単なものですので、是非行ってみてください。
動画を見ながら行うとやりやすいかもしれませんね!
意外と工程が長く、覚えるのは大変ですので見ながら行うのがやりやすいですよ。食事をするときにはそれだけたくさんの筋肉を使っているということなんですね。トラブルを防ぐために大切なことですので、時間を取ってやってみてください。
こちらのページではイラストで体操が紹介されています。
参考サイト:
摂食嚥下障害の訓練法|エルメッド エーザイ株式会社ホームページ
食事の前に行うのが効果的ですが、他にもお風呂の中で、テレビを見ながら、など日常的に行ってください。
自分で体操ができない場合は?
自分で嚥下トレーニングができない方の場合は、食事の前に口腔マッサージをしてあげるといいでしょう。
簡単な方法はアイスマッサージがあります。口の中を冷やして刺激を与えることで、嚥下がスムーズになるんです。これもリハビリの一種なんですよ。
- 割りばしの先端にガーゼなどを巻き付け、先端を水に濡らして凍らせます。
- そして、使う時に少量の水をつけます。
- これを食事の前に10秒ほど口の中に当てます。
ゴックンと飲み込むようにさせてくださいね。これをくり返すと、普通の食事も飲み込みやすくなります。他にも、口周りのフェイスマッサージでも効果があるそうです。
まとめ
飲み込む力は徐々に低下してしまいますが、トレーニングで鍛えることができ、誤嚥も防ぐことができます。誤嚥性肺炎は死に至る危険性もありますので、防止のためにトレーニングをする、もしくはマッサージしてあげるようにして下さい。
誤嚥を防ぐには、食べる姿勢や食べさせ方も重要になってきます。こちら(介助の記事へ)のページで介助の仕方を紹介していますので、参考にしてみてください。